近年注目される「学び直し」って?
学び直しに役立つ国の制度やおすすめの資格スキルも紹介
近年、社会人の学び直しが注目されており、厚生労働省も積極的に支援をすすめています。女性は結婚や出産によって離職するケースもあり、ブランクを気にして再就職を諦めてしまう方も少なくありません。
社会で必要とされる知識やスキルは年々変化していくため、個人の主体的な学び直しは、再就職やキャリアアップにおいて、ひとつのポイントとなります。そして、学び直しには、コストがかかるもの事実。ママや主婦が、再就職に向けた学び直しをためらう理由のひとつは経済的負担であるといえるでしょう。
しかし、国や自治体がおこなっている支援制度のなかには、キャリア相談や学びにかかる費用の支援、受講費が無料で受けられる講座やスクールなどがあります。身につけられるスキルもさまざまです。制度を賢く活用して、仕事につながる新たなスキルや知識の習得につなげていきましょう。本特集では、ママ・主婦が学び直しを行い、再就職を目指す際に役立つ制度などをご紹介します。
このコラムは、女性向け仕事情報サイトを運営する株式会社キャリア・マムご協力のもと、主婦資格ナビ編集部が監修・編集しています。
リカレント教育・リスキリングってどういうもの?
近頃注目を集めている、リカレント教育とリスキリング。2つの違いは何でしょうか。
リカレントには再発する、循環するという意味があり、個人が必要なタイミングで学習と就労を繰り返し、循環した教育を受けることをいいます。主体的に学び直しをおこない、新たな仕事のスキルや知識を習得する点が特徴です。主に、学校教育を修了し就業経験のある社会人が対象で、年齢制限などはないため、学び直したい意欲があれば、いつでもリカレント教育を受けられます。
対してリスキリングは、会社が事業戦略の一環として従業員に学びの機会を与えることをいいます。企業と個人が一丸となった取り組みです。ワーママの場合、会社にリスキリングの制度があるなら利用できますが、会社にリスキリング制度がない、または育児中のママや現在正職で働いていない主婦などは自主的に学ぶリカレント教育となります。
現在、厚生労働省が経済産業省・文部科学省などと連携して学び直しを推進しており、キャリア相談や学びにかかる費用の支援などに取り組んでいます。女性はライフスタイルやライフステージによって働き方が変わることも多いため、社会人になってからでも、新たな仕事のスキルや知識の習得が重要です。
なぜ学び直しが必要なの?
近年学び直しが注目されている最大の理由は、社会で必要とされる知識やスキルの変化です。グローバルな世界の流れに追いつくべく、日本でもデジタル技術の革新や企業のDX化が進んでいます。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、業務改善・働き方改革・ビジネスモデルの転換や修正などによって社会や生活の形をかえることが目的です。
企業の成長には、デジタル新技術の導入や業務の効率化、生産性や正確性の向上が必要なため、従来のスキルでは対応できない仕事が増えてきています。また、コロナ禍でリモートワークが定着したことによる業務の機械化や自動化も、従業員のスキルアップが必要となっている理由のひとつでしょう。デジタル人材が不足しているため、各企業での人材育成が急務となっています。
これらの理由から、産休育休からの復帰時や、育児が一段落して再就職や転職を目指すときに、学び直しで得た知識や資格が役に立つことが多いでしょう。学び直しをすることで、自分自身が成長できたり、今までとはジャンルの異なる新たな就労につながることも。
主婦・ママにおすすめの学び直し
学び直し×女性というと、ワーママがスキルアップのためにおこなうと思われがちですが、実は現在仕事をしていない主婦や育児中のママにもおすすめです。なかには子育ての経験が役立つ資格もあります。
また、ママが頑張る姿を見せることは、子どもにとってもプラスの影響が大きいでしょう。
主婦資格ナビがおこなったユーザーアンケートによると、
主婦が再就職のために興味を持つジャンルは、
1位:パソコンスキル・事務
2位:医療
3位:保育・子ども
という結果でした。そして、実際にとってみたい資格は、
となっており、自分にとって身近なものが人気です。
また、子育て中のママは育児に忙しく、勉強する時間が限られています。そのため、できるだけ難易度が低くて再就職に役立つ国家資格が人気を集めています。ITパスポート、FP技能士、ウェブデザイン技能検定などの国家資格は、実務経験がなくても受験できるため、チャレンジするハードルが低くなります。保育士、社会福祉士、介護福祉士などの名称独占資格も、今の時代に求められる能力です。
その他に、下記のようなスキルも主婦やママにおすすめです。
・マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)やITパスポートのようなIT系
・保育士や介護福祉士、医療事務などの医療福祉系
・WebやDTPデザイナーなどクリエイティブ系
・Webライターや文字起こし、賞状書士のような在宅ワーク系
・簿記やFP(ファイナンシャルプランナー)のような会計経理系
・食育、フードコーディネーターのような飲食系
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主婦やママの学び直しに役立つ制度
主婦が学び直しをためらうひとつの原因が、経済的な負担です。学び直しにはどうしても費用がかかる傾向があります。しかし、補助制度をうまく使うことができれば、少しは負担が軽減されて学びやすくなります。ここではリカレント教育にかかる費用を補助してくれる制度や、受講費が無料となる講座をご紹介します。
教育訓練給付制度
厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を受講した場合、受講料の一部が戻る給付制度です。
雇用保険のある会社で1年以上働いた社会人が支給対象(ただし再度利用する場合は3年以上の勤続が必要)。出産や育児などで離職した方を対象に、教育訓練給付を受けられる期間が離職後20年まで延長されたため、近年になり対象者がぐんと増えています。これから資格やスキルを身につけて、仕事を再開したいと考えている方にはとても魅力的な制度です。
教育訓練給付制度には、3つの種類があり、講座の種類や戻る給付金の割合などが異なります。
1.一般教育訓練給付金
通常の教育訓練給付金を指し、教育訓練講座に支払った金額の20%(上限10万円)に相当する額が支給されます。簿記、TOEIC、ITパスポートなど、仕事のスキルアップにつながる資格取得が可能。厚生労働大臣指定のスクールや学校で教育訓練を利用する、と申告をし、いったん全額自己負担で受講します。受講修了後は、1ヶ月以内にハローワークで支給申請が必要です。途中で辞めた場合、給付金は受給できません。
なお、キャリアコンサルティングを受けた場合も、支払った金額の20%(上限2万円)が支給対象となります。
2.特定一般教育給付金
厚生労働大臣に指定された教育訓練のなかでも、特にキャリアアップ効果が高いと認定された講座に対して適用されます。労働者の速やかな再就職、早期のキャリア形成ができる教育訓練が対象です。介護職員初任者研修、宅建士、登録販売者などのスキルが取得できます。
受講前に、訓練前キャリアコンサルティングの受講、ジョブカード作成、ハローワークへの申請手続きが必須。通常は費用の20%まで支給されますが、特定一般教育給付金の場合は特別に40%(上限は20万円)まで支給されます。
3.専門実践教育訓練給付金
中長期的なキャリア形成を支援する専門的・実践的な教育訓練が対象となっており、看護師、保育士、調理師、キャリアコンサルタントなどの資格が取得できます。教育訓練のなかでも取得までの時間や学費がかかりますが、その分給付の額も大きいのが特徴です。専門性・難易度の高い教育訓練のため、受講者が支払った教育訓練費用の50%(上限年間40万円)が受講中6ヶ月ごとに支給。たとえば2年間で160万円の費用を支払った場合は、そのうち80万円が支給されます。
なお、訓練後1年以内に定められた資格取得などを活かして被保険者として雇用された場合、さらに受講費用の20%(合計70%、上限年間56万円)の給付金が受け取れます。
こちらも受講前に、訓練前キャリアコンサルティングの受講、ジョブカード作成、ハローワークへの申請手続きが必要です。
関連記事:主婦の社会復帰に!受講費用の最大70%が戻る「教育訓練給付金」受給対象が離職後20年まで延長に
https://shikaku-en.jp/article/11
参考:受講料が最大70%戻る!教育訓練給付制度とは?
https://www.brush-up.jp/kyufu
求職者支援制度
主に雇用保険を受給できない求職者の方を対象に、国が支援する制度です。就職に必要な職業スキルや知識を習得するための職業訓練を無料で受けられます。
1.職業訓練受講給付金
公的職業訓練を受講している期間中に受けられる給付金のことです。訓練期間中の生活が困らないよう、職業訓練受講給付金(月10万円)と通所手当(交通費)が支給されます。給付を受けるには、本人の収入が月8万円以下や、世帯全体の収入が月25万円以下など、いくつかの支給要件をクリアしている必要があります。
2.ハローワーク(就職支援/職業訓練)
全国500カ所を超えるハローワークでは、豊富な求人情報をもとにした職業紹介のほか、雇用保険、雇用対策などの就職支援が受けられます。
職業訓練では、就職に活かせる知識やスキルを習得できるプログラムがあります。国がおこなっている支援のため、受講料は原則無料です。職業訓練には、パソコン系や機械・電気系などさまざまなコースがあり、一般的に3〜6ヶ月とスキルを身につけるには十分な期間が設けられています。
各自治体による女性のための再就職支援制度
各地域の自治体でも、女性のための再就職支援事業や講座を開催しているケースがあります。例えば東京都では「東京しごとセンターの女性再就職支援」、埼玉県では「女性キャリアセンター」が設けられています。講座にかかる費用が無料なものや託児付きなどもあるので、お住まいの地域で探してみるとよいでしょう。
主婦やママの学び直しで気になる課題点
主婦や子育て中のママが学び直しする際、いくつかの課題となる点があります。
コロナ禍になり、ここ数年はオンライン講座が増えてきています。在宅で受講できるカリキュラムも多いですが、学習に使う時間が増えると、家事など家族に負担がかかるのも事実。また、育児中に学び直しをするためには、保育が必要になるケースもあるでしょう。小さな子どもを育てているなかで新しいスキルを取得するためには、自分の時間や、状況によっては睡眠時間を削って対応する場面もあり、とても大変です。
家庭によってお金、時間、家族との関係など、問題とする点ははさまざまでしょう。まずはパートナーや家族の協力を得られるかどうか、一度話し合ってみることが大切です。
学び直しをして働き始めた方の声
オンライン講座には、主婦やママにおすすめのスキルと関わるものも多いです。
今回は、仲介企業が実施している業務説明会+ミニセミナーを受講して、アノテーション文字起こしの仕事に就いた方の例を紹介します。
佐藤さんは、全国に11万人の在宅ワーカー会員がいるキャリア・マムに所属。1年半前に、未経験でアノテーション文字起こしの仕事に就きました。通年で作業を行い、さらには管理メンバーに登用とステップアップしています。
佐藤エリコさん(50歳)
アノテーション文字起こし(※)に出会ったきっかけは、キャリア・マムの求人情報でした。
以前から文字起こしに興味があったことと、仕事の幅を広げたいという思いで応募し、業務説明会でミニセミナーを受講。トライアルを経て就業しました。
アノテーション文字起こしは、通常のそれとは異なり、専用のツールを使うケースも多いです。私が初採用された業務では、ELANを使いました。応募時は、操作について不安が大きかったのですが、ミニセミナーのなかで操作方法を学ぶことができ、「これならできる!」と思ったことを覚えています。
繁忙期には、家事の時間の確保が大変なときもありますが、年齢や環境もばらばらのメンバーでチームを組み、データを作っていくことがとても楽しいです。また、AI開発に関わる仕事を担っていること、そして未経験でトライした仕事でステップアップし続けていることが、今の私の喜びとなっています。
※アノテーション文字起こし
音声を正しく聞き取るAIに教え込むための、教師データを作成する業務。タグ付けなど、分類に関する対応をおこなうケースもあります。
協力:キャリア・マム
1995年創業。経営理念「女性のキャリアと社会をつなぐ」をベースに、さまざまな官公庁の皆様と就労支援などを行っています。
http://www.c-mam.co.jp/
学び直しにおすすめの資格スキル
主婦やママの社会復帰、在宅ワークや副業などのために学び直しをする時におすすめの資格スキルをご紹介します。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)とは、マイクロソフトオフィスに含まれているWordやExcelなどの利用スキルを、マイクロソフト社が資格認定する制度です。オフィスソフトの利用スキルを客観的に証明できるので、履歴書に書いて就職時のパソコンスキルのアピールになります。
>>MOSについて詳しく
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>>パソコンスクール アビバ(通信・全国)
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Webデザイン
Webデザイナーは、私たちが普段目にするWebサイトのデザインを制作したり、広告やバナーなどを作ったりする仕事です。現在多くの企業が営業活動にWebサイトやWeb広告を取り入れ、それにともないWebデザイナーの需要も高まっているといえるでしょう。
>>Webデザイナーについて詳しく
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Webライター
近年ウェブ媒体が台頭してくるに従ってウェブ上でライターをする人が増えました。それがWebライターと呼ばれる人達です。
在宅で仕事ができ参入ハードルも低めなので主婦にも人気で、クラウドソーシングなど求人も増えつつあります。
>>Webライターについて詳しく
おすすめスクール
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簿記
簿記資格とは、企業の経理・財務に不可欠な資格です。企業には帳簿をつける義務がありますが、その付け方のルールを知っているのが簿記資格保有者なのです。簿記の資格があれば経理の仕事で再就職するのに有利なので、事務職で就職がしたい方におすすめです。
>>簿記について詳しく
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医療事務
病院には受付やカルテの管理、そして会計などの仕事があります。病院の数だけ医療事務の人員も必要なので、需要は常にあります。子育てで一時期仕事から離れていた人でも、医療事務の資格を持っていれば再就職に有利です。
>>医療事務について詳しく
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介護ヘルパーとは、老人の身体介護や、生活援助を行う仕事です。ここ数年、介護の人材不足が騒がれ続けており、未経験でも積極的に採用をしています。経験を積み資格取得をしてキャリアと収入をアップさせていけます。
>>介護職について詳しく
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登録販売者
薬剤師よりも簡単にとれる、薬を扱う専門資格です。ドラッグストアや薬局等で「登録販売者」の名札をつけている人を見かけたことはありませんか。登録販売者が扱える薬は一般医薬品の9割以上。薬を買い求めるお客様の相談に乗ることが業務の中心です。
>>登録販売者について詳しく
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全国平均を上回る合格率!初学者から一発合格を目指す
>>ヒューマンアカデミー/通信講座(通信)
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保育士
保育士とは、保育園や児童福祉施設などで0歳〜6歳までの子どもを預かり、保育をする仕事です。年齢に関係なく正社員やパートなど働き方を選んで活躍できるので、主婦も活躍中です。保育園だけでなく、共働きの増加や放課後デイサービスなどの利用者も増えており、ベビーシッターや児童福祉施設などでも資格を活かせます。
>>保育士について詳しく
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高い合格率の理由は、四谷学院だけの「55段階学習システム」
>>四谷学院通信講座(通信)
最短6ヶ月!月々3,500円から保育士資格取得が目指せる
>>ヒューマンアカデミー/通信講座(通信)
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栄養士
栄養士としての主な仕事内容は、栄養学の知識を使ってバランスの良い献立を作ったり、食材を調達、管理することです。学校や病院、介護現場などの社会的に重要な役割を果たす施設で幅広く活躍できます。さらに学んだスキルは家庭でも活かせます。専門学校などに通うため取得まで時間はかかりますが、専門実践教育訓練なので戻る学費も多く、社会人主婦の方の多くが学んでいます。
>>栄養士について詳しく
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調理師夜間コースもあり!多くの社会人が通う
>>服部栄養専門学校(関東)